9月のシークレットセミナー 「出生前診断」

レポート

9月のシークレットセミナーのテーマは「出生前診断」。これもまた深いテーマだと思います。

広い意味での出生前診断といえば羊水検査やNIPT、通常の妊婦健診の胎児の大きさを測る超音波検査も、性別を見るコトも出生前診断に入ります。狭い意味でいえば、心臓などの特定の臓器の形態異常に対する積極的な胎児スクリーニングという意味があります。

前半のじょさんしの寺子屋では「あなたなら出生前診断をするかしないか?その理由は?」と言うテーマでまず話し合いました。・

これは一人ひとりの価値観によっても違うし、どれが正解不正解はないそんな質問なんだと思います。

出生前診断を行って染色体異常があった97%が中絶。異常が見つかったほとんどの人が中絶しているかのように感じますがでもこの数字、実際はNIPTを受けているのは全妊婦の1%、その中で異常を指摘されるのは2%その中の97%なんです。つまり、全妊婦の0.02%なんです。

NIPTが日本に導入される時も、採血だけで精度の高い出生前診断ができるとなれば、安易に検査に飛びつく、現場も混乱するし困るというコトで、カウンセリング体制で認可されたきちんとした施設だけ、対象者も決めてと言う臨床研究という形にして、スタートしましたが、「海外では誰でもアクセスして受けられる検査なのに」と無認可で始める医師も出てきて今は無認可での検査が増えているそうです。

そこにあるのは日本特有の医療的倫理観。医療者からのプレッシャーなのかもしれません。出生前診断のカウンセリングにおいては非指示的であるコトが必要。求められているのは医学的な判断ではなく個人の価値観を尊重する、共感的な理解なんだそうです。

そんなカウンセリングにおいて「認定遺伝カウンセラー」と言う存在がいるというコト、そしてドイツでは「妊娠葛藤相談所」という施設が1500カ所もあるというコトを学びました。ここではトレーニングを受けた相談員が無料で何回でも相談に乗ってくれるんだそうです。そして必要な情報も与えてくれるし必要なところへの紹介もしてくれる。

妊娠・出産って、ただでさえ「葛藤」するコトも多い。これからどんどん出生前診断の精度も上がり与えられる情報が増える中でますます葛藤していくそんな状況。知る権利もあれば、知らないでいる権利もある。

そんな中で妊婦さん自身が安心してとことん葛藤できる場所、そこに共感的な理解をした上で寄り添える人、そして必要な情報を提供しどんな決断をしてもサポートを受けられる体制が必要なんだと学びました。

出生前診断は「命の選別」という言葉で置き換えられるコトがあります。人によって状況も価値観は違います。幸せの基準も違います。そんな中で「自分らしい選択」ができるように私たち助産師にどんなサポートができるのか考える必要があります。

出生前診断に限らず、生きていくっていつも何かを選択しているってことなんですよね。答えはいつも個々の中にあります。

「流されることも結論。今ある環境はその人すべてを形づくるものだから」という先生の言葉が印象的でした。善悪だけ、医療的判断だけにならない、一人ひとりの幸せにフォーカスしたサポートができたらいいなと思いました。

このテーマ、2時間だけでは語りつくせない学びや想い。これからもみんなで機会を見つけて語り合い、話しあい、理解を深めていきたいなと感じました。

 

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