12月のシークレットセミナー「産後うつ」

レポート

12月のシークレットセミナーのテーマは「産後うつ」

「産後うつ年間10万人」これが今の日本の現状です。各自治体でも産後ケアや切れ目のない支援ということで力を入れるようになってはきていますがまだまだ課題は山積み・・・現場にいると感じます。

私も興味ありありのこのテーマ!辺見先生からどんなお話が聴けるのかとっても楽しみでした。

「妊産婦死亡、自殺が最多」今年9月、成育医療センターが発表したニュースです。平成27年から28年に、102人の女性が妊娠中から産後にかけて自殺していたという記事です。102人中92人が産後の自殺で、約半数が35歳以上で、65%が初産だったそうです。

通常、女性の自殺は男性にくらべて、致死率が低いことが報告されているそうです。男性が首つりや飛び降り、飛び込みなど violent methods 暴力的な方法による自殺が多いのに対して、女性はover dose大量服薬などのnon violent methods が多いからです。しかし妊娠、産褥期の女性は、violent methods が多いという特徴があるようです。

2005年から2014年の10年間の東京都23区内でのデータを見ても、日本の妊産婦死亡率は出生10万人に対して4人。しかし周産期自殺率はその2倍にあたる8.7。これはイギリスの2.3、スウェーデンの3.7と比べても2倍以上です。

さらに自殺者の妊娠中、産後とも精神疾患があったかどうかというデータを見ると妊娠中は61%、産後は40%は精神疾患はなしとされていますが、精神科のDr.は実際自殺する瞬間の精神状態はなんらかの精神疾患に支配されている、つまり精神科にたどり着いていないだけと言われています。

産後うつの半分は妊娠中から始まっていると言われ、最近は産後うつではなく「周産期うつ病」という言い方をするそうです。そして妊娠中の不調は隠す傾向にあり、メンタル不調者の80%は医療者に自ら助けを求めない。そのメンタルの不調を身体症状や授乳・育児に対する悩みにすり替えていることがあるので、そこを上手にピックアップすることが必要だということ。

データから見る「産後うつ」そこから分かることがたくさんありました。まずは現状を知ることが大切ですね。産後うつのリスク因子、病態などいろいろ教えていただきました。

その中で印象的だった先生の話の中に「ママじゃないと病」が日本に蔓延している「ママがママを支える」のは根本解決ではなく、緊急措置でしかないというお話でした。

本来子育ては母親一人でするものではなく夫婦で、家族、地域でしていくもの。社会全体が変わっていかなければきっとこの問題はいつまでたっても解決しません。まずはそこに気づくこと。

産後にきちんとした産後ケアやセルフケアが必要なのに「私はママ。赤ちゃんのお世話くらい私がしないと。」ここに苦しんでいる女性は多いのかもしれません。その結果「しんどい」「助けて」をパートナーや家族にも言えない。

3歳児神話なんかもそうかもしれません。家事・育児・子育ては女性がするものという昔からあった日本ならではの女性のあり方。でも本当は女性だけが背負うものではない・・・何か違う、そこに今、気づきはじめているんですよね。

今、いろいろなものの常識や価値が変わってきていると感じています。「子育ての仕方」や「家族のカタチ」にしても「性の多様性」や「女性の生き方」ということにしても昔の常識は通用しません。負の連鎖があるのなら断ち切って、私たちの子どもたちの世代ではもっとよくなっていて欲しい。

社会を嘆き変わるのを待っているだけではなく、それぞれができることから少しずつでも取り組んでいっているのが、今のこの時代なのかなと思っています。

ひとつひとつ全部必要だと思うんです。人によって求めているサポートは違います。ママへのサポートもパパや企業に対するアプローチも子どもたちへの支援もまだまだ足りないんです、必要な人に届いていないんです。

気づいた私たちが変えていく、それが今を生きる私たちの役割なんだと思うんです。

寺子屋では「産後うつをなくそうプロジェクト」を任されるとしたら何をやるか?常識をとっぱらって自由な発想で考えてみました。ママに対して、パパに対して企業や社会、国に対してもいろいろな意見が出ました。

その中で助産師としてできることがある。先生が「周産期のメンタルヘルスの大黒柱は助産師さんです」そう言ってくださったように、妊娠、出産、産後にママの近くにいる私たち助産師が自覚して関わっていくことが必要だと改めて感じました。

産後うつをなくすためのマニフェストとしてプレゼンをしてくださりベストオーディエンス賞に選ばれた大臣(笑)最高にステキでした!!

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