11月のシークレットセミナー「ピルの有用性」

レポート

11月のシークレットセミナーのテーマは「ピルの有用性」

「ピル」「ホルモン剤」については知っているようで知らない、きっと勉強不足のところがまだまだあるなという感じ。前半の寺子屋ではまず、私たちが持っているピルのイメージについて話し合いました。その中で「できれば飲みたくない」「治療として使うもの」「避妊のために使うもの」そんな声が多く聞かれました。

どちらかといえば私もピルやホルモン剤についてはそんなイメージを持っていました。何か特別なもの=「自然」とは正反対なところにあるもの、といったイメージです。

けれど今回の辺見先生の講義を受けて、ピルやホルモン剤に対する捉え方が変わったように思います。

そもそも日本の15~49歳までの女性のピル使用率は諸外国と比べてもすごく低いのです。2014年のデータでは北朝鮮の3.7%より低く日本では1.1%とのこと!ドイツ、オランダ、フランスなどはほぼ半数の女性が使用しているそうです。

こんなにも日本が、ピルの普及がすすんでいない背景の一つは、日本は低用量ピルの解禁が他の国にくらべて非常に遅かったこと。1999年に解禁されているのですが、これは国連加盟国の中では最も遅くアメリカから遅れること25年です。

二つめとしてはとにかく値段が高いのです。日本では保険処方と自費での処方との間に差がでないようになっていて、1か月だと保険でも自費でも、だいたい2500円から3000円くらい。これはドイツの3倍から6倍の値段だそうです!ドイツ、フランス、イギリスでは10代はピルはほぼ無料なんだそうです。

そんな理由もあってあまり普及していないピル(ホルモン剤)ですが、いろいろなシーンで使われます。子宮内膜症、過多月経の治療で使用することもあれば、避妊薬や緊急避妊薬として使用することもあります。また内服だけでなく、ミレーナなどの子宮内リングは避妊リングとしてだけでなく、月経困難症の治療として2014年からは保険適応で使用できるようになっています。

また更年期障害の改善にもホルモン剤は用いられています。日本でのHRTホルモン補充療法の普及率はやはり諸外国と比べてかなり低く1.7%.やはりオーストラリア、カナダ、フランスは高く、海外では更年期障害の治療ではなく、閉経後の健康管理、骨粗鬆症の予防や、高脂血症の予防で使われているようです。より健康で女性らしく生きるための選択肢のひとつとしてのホルモン補充でもあるのです。

平均寿命は伸びていますが、伸びていないもの(昔と変わらないもの)は閉経年齢で昔も今もだいたい50歳。戦前であれば閉経する前に亡くなっていることになります。私たちや私たちの子どもたちが高齢者になる頃には平均寿命ってどうなっているのでしょうか?平均寿命も現代人の食生活や生活習慣を考えるとこのまま伸び続けるとも思えませんし、平均寿命と健康寿命の差を見ても男性より女性の方が不健康期間が3年半長いと言われています。現代は、閉経して女性ホルモンがなくなってから、20年、30年と生きる時代です。そこをどう生きるのか?

今回のテーマを通して、ピルの使用ひとつ考えても、女性の年代や使う場面もいろいろ。「ピル」=より健やかに自分らしく生きていくために使用するものとして捉えることができたように思います。

ピルは女性が生きていくうえで、その人にとってベストなタイミングでの妊娠出産をするためのものだったり、日々の自分自身のパフォーマンスを上げていくものだったり、より女性らしく快適に、そして健康に生きていくためのものだったり。

つまり、女性が自分の権利と健康を守ってどう生きるか=「リプロダクティブヘルツ/ライツ」の視点から見たら、私たち助産師がピルに対する視点を変えて学び、理解することそしてその知識や手段をシェアしたり伝えていくことで、守れる命、守れる人生があるということが大きな学びだったように思います。

そしてそれは女性だけに限らず、いつだって「自分の人生、生き方は自分自身で決められる」「自分らしくどう生きるのか?」前回の性教育=生教育にもつながることで、各ライフステージごとに合わせた教育が必要だと思いました。

「助産師は女性の一生に寄り添う」「女性の心と身体の専門家」と私たち助産師はよく言います。私もよく言っていました。でもこれってどういう意味なのか?本当はどうなのかなと自分に問いかけた時、確かに産前産後は強いかもしれないけれど、それ以外の関わり方やサポートについてはまだまだ勉強不足。

そういった意味で、今回のテーマを通して、女性のライフサイクルにおいてより幅広く私たち助産師がどう関わっていくのかを考えるいい機会になったように思います。

 

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